受賞チームインタビュー|リクルート様『#エゴい髪型でキメろ』「TikTok for Business Japan Awards 2024 Creative Category」Best UGC Driver部門・部門賞受賞
株式会社リクルート様「ホットペッパービューティー」と人気テレビアニメ「ブルーロック」のIPタイアップ施策『#エゴい髪型でキメろ』が「TikTok for Business Japan Awards 2024 Creative Category 」、Best UGC Driver部門賞を受賞しました。 本記事では施策担当チームに、アニメ・マンガIPタイアップの企画プロセスや成功の勝ち筋について聞いていきます。
目次
ワンメディアチームのクリエイティブ企画プロセス
超有名アニメとのタイアップの面白み・挑戦
プロジェクトを通した、メンバー個々の“覚醒”
アニメ・マンガIP タイアップ=ファンと作る広告
メンバープロフィール
ワンメディアは採用強化中です!
ーでは早速、自己紹介をお願いします!
森
プロデューサーの森です。僕はどちらかというとTikTok より、YouTube やX などのプラットフォームを横断するような統合プランニングを生業にしています。
ー生業(笑) プラットフォームを横断する本プロモーションの経験がワンメディアチームのなかで多くて、得意ってことですよね。
森
そうですね、ディップ株式会社様の『#はじめてバイト応援チャレンジ』や中外製薬株式会社様の『Raising Awareness of NMOSD with yama』とか...
ーその2プロジェクトも今回ノミネートされていましたね!すごい。
近藤
プランナー兼クリエイティブチームのマネージャーをしています、近藤です!私も6年目になります。
余頃
取締役・ビジネスプロデューサーとして広告事業を統括している、余頃(よごろ)です。今回のプロジェクトでは、ビジネスプロデューサーとして担当しました。
ワンメディアチームのクリエイティブ企画プロセス
ーワンメディア歴の長い制作メンバーの2人と、取締役として会社の経営にも携わっている余頃さんを筆頭にした強強チームなわけですね。ちなみにこのメンバー編成は本プロモーションがはじめて...?
余頃
はい、本プロモーションが初めてですね!
ーワンメディアは、固定されたチームで動くことは無く、プロモーションごとにメンバーがアサインされますよね!この3人がアサインされるプロモーションの傾向とかあれば...
森
TikTok クリエイターを起用したタイアップというより、マスメディアに代わる規模での話題化を目指した大型案件だったり。あとはやはりプラットフォーム横断するような統合プランニングとして、メディアプランニングやコミュニケーション戦略が複雑なケースに僕らはアサインされやすいかも(笑)
ーちなみに、今のワンメディアってTikTok 施策とプラットフォーム横断系の大型案件の割合でいうとどちらが多いんですかね?
余頃
半々くらいですね。実は2022年は、TikTok とショート動画に全集中していたんです。その結果、TikTok 事業がプラットフォームの成長の波にも乗って、事業として急成長したのが2023年の上半期くらいです。
一方でYouTube を活用するプロモーションもやっているので、うまくショート動画のノウハウとYouTube で展開するようなブランディング動画のノウハウをかけ合わせているのが今ですね。フルファネルで統合的にプランニングするプロモーションのご相談も増えました。なのでTikTok だけでなく、今回の『#エゴい髪型でキメろ』のような実績ができてきて、お問い合わせも増えています!
ーなるほど!今回のような統合プラニングかつ、アニメ・マンガIPタイアップのワークフローってどんな感じなんでしょう?
近藤
一概に言えないですが... 基本的には既存のクライアントさんからのお声がけ、もしくは “コンペ” で勝ち取るケースが多いですね。どのケースにせよ、共通しているのはオリエンを受けるタイミングで、ビジネスプロデューサーだけではなく、クリエイティブ側であるプロデューサーやプランナーをアサインして、一緒にオリエンを聞きます。そしてオリエンでヒアリングしたゴールやターゲット、メッセージを踏まえて企画作りに入る感じです!
森
これワンメディアが特殊かも、と感じる部分なんですが。キャスティング・クリエイティブのコア・メディアプランをごちゃ混ぜで同時に走らせるんですよね。
余頃
確かに。他社さんだと、クリエイティブのコアアイディアを策定 → IP などキャスティング → 最後にメディアプランを決める という順番が決まっていることが多いのですが、ワンメディアの場合、ポジション関係なく一気に3要素が走る感じですね。なので、提案時だけじゃなく、制作過程もこの3要素は同時に走っているかも。
超有名アニメとのIPタイアップの面白み・挑戦
ーすごい!まさにチーム戦ですね。『ブルーロック』のようなTV アニメとタイアップを実施するにあたって、進行で苦労したこととかありますか?
近藤
個人的には、実は「良いIP タイアップってなんなのか?」というところから始まりました。IP って直訳すると「知的財産」という意味で、要は企業やクリエイターが持つ「知的財産」をどう掛け合わせるかというプロモーション手法で、めちゃくちゃシンプルなんですよね。
だからこそ、一番最初の壁はやっぱり何のIP とタイアップするか、という部分でした。本施策でいうとホットペッパービューティーが持つ価値と、タイアップするIP が持つ価値をどう掛け合わせてお互いのファンが交わり、歓喜できる場所を作るか、というところです。その中で、もちろんクライアント側(株式会社リクルート様「ホットペッパービューティー」)が目指したい印象付けはあったので、タイアップする際の文脈作りのために様々なIP とブランドのコアメッセージをリンクさせていくつもアイディアを作りましたね!
森
それに伴い、僕はひたすらIP を保有する企業とコミュニケーションを取っており、版権の確認に苦戦しました。IP 側としても、 有名なブランドだからOKしてくれる、というわけではもちろん無く、IP とブランドのそれぞれがどういう接点でどういう打ち出し方をするのか、が重要なんだなと。なのでまずはIP 側を説得するために、ブランドとの接点や必然性を理解してもらう文脈を企画していくことが鍵になります。
近藤
「クリエイティブ的に、ここまで詰めないと版権側に確認できないからぁあ!」みたいに森さんが我々に嘆いていたことも多々ありましたよね(笑)
森
僕も必死だったんで(笑)ワンメディアのプロデューサーとして、IP側に立った際にどう進めれば企画を通せるかという部分は常に考えてましたね。
プロジェクトを通した、メンバー個々の“覚醒”
ー森さんはもはやIP を保有する企業の人ですね(笑)毎月開催される全社集会で本プロモーションを余頃さんからメンバーに紹介した際に「ブルーロックさながらにメンバーそれぞれが役割を認識し、個々の強みを活かしてまさに“覚醒” してた」と言っていましたが!それぞれの覚醒っぷりを教えてほしいです!
近藤
森さんは総合代理店系列の制作会社出身なので、広範囲への仕切りが素晴らしかったですね!IP 側・クライアント側・社内のメンバーが気持ちよく、そして上手く前に進むようにコントロールしてくれました。それに、プランナーとして実現させたい座組・アイディアを森さんに打診した際には、「実際無茶だろ」って思った事が何回かあるはずなんですけど、否定せずになんとか実現できないかと交渉を進めてくれたり。否定せずに一旦聞き入れてくれることって、プランナー含め、制作チームからするとクリエイティブの質を1段階あげられるきっかけになるんで、めちゃくちゃありがたかったですね!
余頃
それは私もめちゃ感じました!選択肢をできるだけ潰したくないのでやりたい取り組みがすごく沢山あって。それをどうすれば実現できるのか、という部分を私と近藤さんからダブルで畳み掛けるように森さんに依頼していたんですけど(笑)なんとかしようとしてくれるのがマジでありがたいなって。
森
できないことはできないですけど(笑)可能な限り可能性は探りたいし、僕としても実現させたい事が沢山あったので、常にめげない心を持つようにしてました!
余頃
森さんと一緒に動いているプロモーションが他にもあるんですけど、1年前と比べると交渉・調整力が格段に上がってるなってめちゃ感じます(笑)
近藤
余頃さんにもめちゃくちゃ感謝してることがあって...
ーほう...!?
近藤
本プロモーションは規模が大きかったので、提案も時間をかけていて。その間にブルーロックにも様々な話題化の波があったのですが、細めに余頃さんがクライアントさんに対して“ブルーロック速報” 的な感じで周辺情報などをまとめて密にコミュニケーションを取ってくれていたんです!なので、クライアントさんにもブルーロックってやっぱりいいよな、今注目されているんだね、という印象を持ってもらったまま決裁までの期間いけたというか。このプロモーションの受注はマジで余頃さんのおかげなんですよね!
ーさすが余頃さんだ…ちなみに近藤さんの覚醒についてはどうですか?
森
『#エゴい髪型でキメろ』のLP(* ランディングページ)を作ることになったんですが、そのデザイン案を半日で作成して持ってきたことですかね!サイト制作会社さんとご一緒することは決まっていたので、LP に入れたい要素やヴィジュアルをオリエンすることになったんです。で、LP ローンチまで結構スケジュールがタイトだったので、可能な限り先方にはこちらのイメージを業者さんに伝える必要があったんです。そしたら、近藤さんがイラレ(* Adobe Illustrator)を使って半日で完成イメージのデザインをあげてきて。なんならこれでLP サイトできるんじゃないかレベルな高クオリティなものを作ってきて(笑)
余頃
確か近藤さん、デザイン初心者だったんですよね?なのに、半日でほぼ完成したLP デザインを自分で仕上げてきてびっくりしました。あれは覚醒してたし、感動しました(泣)
近藤
プロデューサー出身なので、デザイン系は正直ド素人でした(笑)ここにこのヴィジュアルにコピーを入れたい!という完成形のイメージが明確にあったので、そのゴールに向かってひたすら独学で調べながら作りましたね!めっちゃ時間かかったけど…
森
プランナーという肩書がありながら、アートディレクションまで担いはじめたときはマジで覚醒を感じましたね!
近藤
社内にアートディレクターがいるので、ちょこちょこ教えてもらいながら頑張りました!!
アニメ・マンガIP タイアップ=ファンと作る広告
ー『#エゴい髪型でキメろ』のようなアニメ・マンガIP タイアップになると、IP のファン層の動きがかなり重要になりますよね。推し活コミュニティを巻き込むような工夫が必要不可欠だと思うのですがその部分はどうですか?
近藤
我々が目指すべきことはファンからの「ありがとう」が、アニメやマンガなどの版権側に向くんじゃなくて「こういうアクション起こしてくれたブランドさん、ありがとう」と感謝のベクトルがブランドさん側に向くことです。IP としてのアニメ・マンガはいわゆる“推し活” 要素が強く、良い意味でファンの皆さんの目線がめちゃくちゃシャープなので、その推し活を企業ならではの手法で応援し、ファンが歓喜するきっかけを提供することが成功の鍵だと思います!
余頃
私、広告の手法で1番「タイアップ」が好きなんです。A とB が掛け合わさることで、新たにC が生まれる、というところが、創出できるコンテンツ価値が高いと思ってます!
今回実施して、IP タイアップの勝ち筋も見つかりました。ただ人気なアニメ・マンガとコラボする「認知度」という指標以外に「拡散力」と「独自性」という要素が大事です。
『#エゴい髪型でキメろ』で実感したのは、特に「独自性」ですね。「独自性」を作り出すことでファンが喜んで「UGC(*1)」 が爆発していく。ブランドの良い部分をシンプルに生かして広告するより、“一見新しいことをやっているけど、実はそのブランドらしさが打ち込んである” みたいな文脈作りが重要だと思ってます。
*1 UGC(User Generated Contents )とは、企業が作ったコンテンツではなく、視聴者によって作成されたコンテンツのこと
近藤
ファンの皆さんはめちゃくちゃ細かい文脈にも気づいてくれるし、それをしっかり紐解いて発信してくれますよね!
余頃
『#エゴい髪型でキメろ』をリリースした時にチームメンバーで話したんですが、ここまでわかりやすくUGC というか、手応えを実感できたのは初めてだったんですよね。
森
コンテンツがローンチして10分経たずにX 全体を通して盛り上がっていたので、“あ、バズってんな”とあからさまに実感できたのは初めてでしたね。同時に、クリエイティブだけじゃなくてUGC が生まれるコンテンツに凄いパワーを感じました。
ーピラミッド構造でファンの盛り上がりを最大化させる、という部分で行くと森さんと余頃さんが手掛けている『#はじめてバイト応援チャレンジ』、『Raising Awareness of NMOSD with yama』、『Green Music produced by Zurich』あたりはかなり推し活コミュニティというか、ファンをザワザワさせていますよね(笑)
森
特に『Green Music produced by Zurich』のVTuber タイアップは毎回反響がすごいですね!VTuber が持っている文脈と場所を意識してコンテンツ内容を考えています。アニメ・マンガIP タイアップは世の中に与える影響やファンリアクションが如実にわかるので僕的にも嬉しいですね。
近藤
私としては『恋するモンダミン』プロモーションの際に、「お口、クチュ、クチュ。モンダミン♪」サウンドロゴを入れ込んだ新曲をTikTok 発の人気ユニット「なかねかな。」さんに書き下ろしてもらったんですが、それがキークリエイティブになり、話題化されてファンの方々からのリクエストで体験型イベントを実施した経験がかなり大きいですし、推し活の力を感じました!
ーイベント当日は多くのファンの方が来てくださって大行列でしたよね!では最後に、本施策が大成功に終わり、ワンメディアとしてもアニメ・マンガIP タイアップの可能性が広がったかと思いますがこれからみなさんが挑戦したいことを教えてください!
森
今回はあくまでオンライン上の施策だったので、今後はオフライン含めた施策をプロデュースしたいですね!
近藤
確かに!OOH(*2)を絡めたりコラボグッズを販売したり…。SNS のショート動画が軸になって更に世の中全体を巻き込んでいくようなプロモーションやっていきたいですね!
余頃
事例や知見が色々と溜まってっきているので、海外の広告賞も視野に入れて面白い広告をたくさんプロデュースしていきましょう!!
*2 OOH(Out Of Home )広告とは、中吊り広告や駅構内広告などの交通広告、各種看板屋大型ビジョンなどの屋外広告、チラシなど、家庭以外の場所で展開するメディアの総称。
メンバープロフィール
森 恭平 Kyohei Mori
Studio Dept. プロデューサー
新卒で総合制作事業会社に入社。プロダクションマネージャーとしてテレビCM やMV 制作を経験し、2018年にONE MEDIA へ入社。現在はプロデューサーとしてSNS プラットフォームを横断するような統合プランニングを得意としている。
取材記事:https://markezine.jp/article/detail/43782
近藤 望美 Nozomi Kondo
Studio Dept.マネージャー / プランナー
新卒で映像制作会社にプロダクションマネージャーとして入社。2019年にONE MEDIAに入社し、プロデューサーを経て、現在は念願のプランナーに転向。想像を超える企画力と、ときに手書きの手紙でキャスティング交渉するほど、アイデアを絶対に形にする実装力に定評あり。いわゆる「バズらせ」案件が得意な1児の母。
取材記事:https://www.tiktok.com/business/ja/blog/daikin-case-study
余頃 沙貴 Saki Yogoro
取締役 / Business Producer
広島県出身。弁護士を目指して上京するも、東京大学在学中に広告・メディアの魅力に出会い、LINE株式会社に入社し大手企業のブランディング支援を担当。2021年7月にワンメディアにジョインし、TikTok事業を立ち上げ。2022年9月より取締役に就任し、コンテンツスタジオ事業を統括。前例のない大型プロモーションを実現する情報分析と因数分解はお任せあれ。好きな食べ物は、出張先のカフェで食べる朝のパンケーキ。
取材記事:https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/casestudy/00012/01325/
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